*「豊の部屋」を立ち上げようと思った理由

 私の祖父,林豊が15歳の時に,板東俘虜収容所で,唯一の日本人郵便配達員として働いていました。そこで実際に祖父は捕虜の方々の生活の様子を肌で感じ,収容所が閉鎖された後も板東の老人会を中心に「ドイツ兵をしのぶ会」を立ち上げて元捕虜の子孫の方々と交流をしていました。そのことを知った父,林啓介はふるさとの史実に強い興味を持ち,昭和53年に「第九の里ドイツ村」として書籍に残しました。そして,長年研究を進めていく中で,子孫の方々と文通を通じて,いろいろな資料の提供やドイツ館が建設される時に寄付をしていただいたりと交流を深めていきました。父は実際に3度ドイツに足を運び,元捕虜の子孫の方々から,収容所内での出来事を聞いて取材をし,ライフワークとして書物にまとめたり,講演活動をするようになりました。収容所内での出来事は今では,よく知られるようになりましたが,昭和50年代はあまり知られていませんでした。
 私も微力ですが,少しでも多くの方々にこの史実や交流の様子を知っていただけるように尽力したいと思い「豊の部屋」を立ち上げようと決心しました。よろしくお願い致します。